「量子ビット」寿命100倍以上、日立製作所が開発した技術の意義についておしえてください
日立製作所は、シリコン量子コンピュータの実用化に向けて、量子ビットの寿命を100倍以上延伸させる新たな技術を開発しました。この技術は「量子ビットスピン操作方式」と呼ばれ、量子ビットの操作に用いるマイクロ波の照射を工夫し、半導体中のノイズを一部無効化して量子ビットを安定化させるものです。具体的には、ノイズの影響によってスピン軸がぶれた状態で回転している量子ビットに対し、マイクロ波の照射の仕方を工夫して2方向の回転軸を操作し、スピン自体を安定化させることで寿命を延ばしました。この手法により、量子ビットの寿命は従来に比べ100倍以上長い211マイクロ秒(マイクロは100万分の1)まで延ばすことができました。今後、さらに1ミリ秒まで寿命を延ばす計画であり、量子コンピューターの早期実現を目指しています。
日立製作所以外にも量子コンピューター研究は進んでいるのですか?
はい、日立製作所以外でも量子コンピューターの研究開発は着実に進んでいます。グローバルに見ると、先進各国で量子コンピューターの研究が進んでおり、ハードウェア開発やソフトウェア・アルゴリズムの開発などが行われています。具体的には以下のような動きがあります:
– ハードウェア開発:
– 超電導方式: これまで主流だった超電導方式に加え、光方式やイオントラップ方式にも注目が集まっています。
– 量子ビットの実現: 量子ビットの実現方法についても研究が進んでおり、さまざまなアプローチが試されています。
– ソフトウェアの開発:
– ハイブリッド方式: 古典コンピューターと量子コンピューターを組み合わせるハイブリッド方式が注目されています。
– Pythonの活用: Pythonを使った量子コンピューターのソフトウェア開発が進んでいます。
– 量子超越性の実証:
– 2019年10月にGoogleが「量子超越性」を実証し、量子コンピューターが特定の計算を古典コンピューターよりも高速に処理できることを示しました。この発表は世界的な期待を高めています。
国内でも、企業や大学が量子コンピューターの研究開発に取り組んでおり、量子アニーリングマシンや量子ゲート方式の研究が進んでいます。